こば爺の 菖蒲園



         
 朝日新聞 35面 下関 平成23年6月16日 木曜日 より
 
下記は記事全文です

病の妻に元気を17年目の菖蒲園


「桃源郷のような景色」今週から見ごろ

 大病を患った妻に見せようと植えたショウブが、今年も花を咲かせ始めた。下関市豊北町の小林誠治さん(89)が、妻のシズコさん(85)のために荒れ果てた休耕田を少しずつ開墾して広げ、今年で17年目。約3千平方メートルに広がった、夫婦にとって桃源郷のような場所は「こば爺の菖蒲園」と呼ばれている。

豊北の小林さん、3万本を手入れ

 シズコさんが病気で倒れた時、誠治さんは考えた。「1日中寝たきりなので、花でも眺めさせて、気分を和ませてやろう」。自宅の縁側から見える荒れ地に誠治さんがくわを入れ、広さ100平方メートルほどの場所に、東行庵(下関市吉田)から譲り受けたショウブ300株を植えた。
 その後、少しずつ山の谷間の荒れ地を開墾し、毎年、花が咲いた梅雨明け後に株分けをして増やしていった。
 今は毎朝5時に起き、6時には菖蒲園に出る。草むしりと肥料を与えるのが日課だ。地面にひざをついて、ひたすら雑草を抜いていく。「花のそばにいると、花がこうしてくれ、ああしてくれと言ってくる」。昼食を除き、日が暮れるまで菖蒲園にいる。
 そんな誠治さんに、シズコさんは「じいさんがコンコン掘ってショウブを植えて・・・、ばあさん思いのじいさんじゃね」と目を細める。
 評判が口コミで広がり、昨年4月には近所の人たちが「こば爺の菖蒲園実行委員会」を結成。近くの空き地を駐車場にし、チラシを作って「道の駅」でPRした。発起人の一人、永富輝久さん(64)は「まるで桃源郷のような景色。90歳近いのに1人でコツコツ作業する誠治さんの姿に感動した。何か応援したいと思って」と話す。
 今年は10日ほど開花が遅れ、18〜26.日が見ごろ。「数えたことないが3万本はあるのでは」と永富さん。2.3年前から見学者も増え、誠治さんは「ショウブを増やすのが生きがい。成果をみてもらえるようでうれしい」と話す。
 場所は豊北町阿川小瀬戸。国道191号の阿川郵便局前交差点から山側に曲がり約800メートル。途中、標識がある。問い合わせは永富さん(080-6327-0961)へ